「私が仕事を始めた当時、バッグというのは奇妙な品物で、とても厳めしくて創造性がない。そしてバッグの色と素材は靴と同じトーンでなければならないという不文律のようなものがあった。しかし私の理想のバッグとは、制約や伝統的な慣習から自由なものでなければいけなかった。」(ジュリアーナ・カメリーノ)
ヴェネツィアにあるヴァチカン御用達であったベルベット工房“ベヴィラクア”を訪れたジュリアーナは、ベルベットの持つ温かな風合いと濃い青・くすんだ赤・瓶の濃緑色に魅かれました。そしてベルベットをバッグの素材として活かすために留め金やベルトを鞄のために織り込んでもらうことを考えつきます。バッグとイタリアの伝統素材のマリアージュは、ジュリアーナの自由な発想のもとに生まれ、当時どこにもなかった新たなアクセサリーとしてのバッグ「バゴンギ・メリディアーナ」が1948年に誕生したのです。
誕生から70年以上経った現在でも、このバッグの素材や製法は変わることなく、メリディアーナシリーズのバゴンギやカラベラは、すべてイタリアのマエストロの手仕事によって丁寧に作られています。
最初の工程は、オリジナルで染められたシルク糸5600本を18世紀の木製の織機にセットすることですが、それだけで約1週間を要します。メリディアーナ(イタリア語で日時計を意味する)は「幸運・成功・富」を象徴するモチーフで、熟練した職人だけが手織りすることができますが、彼らの手によってでも一日に40cmほどしか織ることができないものです。
織り上げられた艶やかな光沢感を持つベルベットは、別の工房でそれぞれの職人によって裁断・縫製・組み立てされます。ベルベットには向きがあり、裁断にも最新の注意が払われます。
最終の組み立てが出来るのは、マエストロと呼ばれる限られた数人のバッグ職人だけ。彼らだけがロベルタ ディ カメリーノのバッグを仕上げることができるのです。オーダーから入荷まで約半年の歳月を必要とするのは、このような匠たちの手による丁寧なものづくりによるものだからです。
今シーズンのトレンドは「クラッシック」。
空気が冷気を含んできた今の時期からこそ、しっとりとした手触りで高級感の溢れるイタリアからの逸品を持ちこなしてはいかがでしょうか。