“Less is More”
「少ない方が豊かである」
20世紀に活躍したドイツの建築家 ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの言葉
2021-22年秋冬のコレクションテーマ「ARCHITECTURE」
今シーズンは”Less is More”にフォーカスし、クラッシック&タイムレスなデザインやサスティナブルな暮らしの新たな意味を模索します。物質的な豊かさを追求するのではなく、大切なものだけを選び取る・「減らす」のではなく「絞り込む」意識が欠かせない時代となったということです。”Less is More”の指針となる様々な要素が「建築」の中に見て取れることから、「建築=ARCHITECTURE」がロベルタ ディ カメリーノの2021-22年秋冬のコレクションテーマとなりました。
ヴェネツィアの建築とその手法
ヴェネツィアの街中に点在する14世紀からの建築物に見られる柱や床に見られるデザインに、約700年を経てもなお私たちはその美しさと独特なクラシカルなフォルムに魅せられます。そして無駄なものが一切ないタイムレスなデザインであることに気づきます。また、いたるところに「だまし絵(トロンプルイユ)」のテクニックが施されていることに驚きます。
これらの壁や床や柱などからインスピレーションを得たデザインやそこに施された天使やアラベスク文様。また、ヴェネツィア共和国の旗に描かれた聖マルコを指す聖書を持った有翼の金のライオン。それらをモチーフにグラフィカルかつクラシカルなデザインを展開しています。
トロンプルイユとLess is More
ヴェネツィアの工房で美しいベルベットを見た創業者であるジュリアーナ・カメリーノは、「私の頭の中にある最新のデザインとこのクラッシックな素材を合わせたものをつくればいい」というタイムレスな発想をします。1948年にデザインされたこのバッグ・バゴンギは、他のどんなものより落ち着いたミニマルとでもいうべきドクターズバッグにインスピレーションを得て、美しく贅沢な素材であるベルベットに重い金具や装飾を「付ける」のではなく「織り込む」ことで、ジュリアーナの求める「新しさ」たりえる代表作となりました。ベルベットに装飾を織り込むトロンプルイユの手法もまたLess is Moreのコンセプトが根底にあったのです。「ロベルタのデザインのポイントはひとつよ」
日本において商品やブランドイメージのビジュアルを具現化する際に、ロベルタの特徴的なデザインと配色を意識するあまり過剰になりすぎる傾向にある我々に、創業者のジュリアーナ・カメリーノが繰り返し言っていた印象的な言葉です。Less is Moreの精神が、ジュリアーナのデザインポリシーの中にも貫かれていたのです。